
新感覚なドラッカー入門書
「もしドラッカーがITベンチャーの新卒女性社員だったら」。
ITベンチャー企業で働く新卒女性社員の成長物語を読み進めるうちに、マネジメントが直感的に理解できるようになります。文系読者にはイノベーションの種となるITを理解するのに役立ち、理系読者にとっては最適なマネージメント入門書です。
ここでは立ち読み感覚で中身をチェックできるよう、本書の一部をご紹介します。
あとがき
ドラッカーの理論は、そのすべてが時代を超えて組織のマネジメントに適合するというものではありません。
ドラッカー自身が述べているように、すべてはつくられた時から陳腐化が始まります。
それはドラッカーの理論自体についてもいえます。
ですから、ドラッカー自身も変化に合わせて自分の考えに修正を加えていきました。
しかし、変化の波の上をただ漂っているだけでは、目指す目的地にはたどりつけないでしょう。
変化を続ける相の下にはほとんど変化しない相があります。
エッセンスです。
エッセンスを知れば、その力を借りて目的地に向かうことができるかもしれません。羅針盤のようなものです。
ドラッカーは、それを基本と原則と呼んでいます。
エッセンスは抽象的なので、言葉だけでは理解しにくいものです。
本書はある意味、手を変え、品を変え、物語やゲームの形にして、そのエッセンスを伝えられないかと試みたともいえます。
本書に登場したDコムも、登場人物も、新規事業も新製品も、すべてフィクションです。
それらは、まさに変化する相です。
フィクションとは関係なく、たしかに納得できるもの、役に立つと思う考え方、正しいと感じる言葉、それこそが読者にとってのエッセンスではないでしょうか。
そのなかに、ドラッカーが基本と原則と呼ぶものが含まれていれば、本書の目的のなにがしかは達成できたことになります。
ビジネスも人生も、乱気流のなかを進んでいくようなものなのかもしれません。
読者が読みとられたエッセンスが、乱気流を進んでいくときの指針になれば、筆者としては望外の喜びです。