
新感覚なドラッカー入門書
「もしドラッカーがITベンチャーの新卒女性社員だったら」。
ITベンチャー企業で働く新卒女性社員の成長物語を読み進めるうちに、マネジメントが直感的に理解できるようになります。文系読者にはイノベーションの種となるITを理解するのに役立ち、理系読者にとっては最適なマネージメント入門書です。
ここでは立ち読み感覚で中身をチェックできるよう、本書の一部をご紹介します。
はじめに
ドラッカーのマネジメントには、経営者だけでなく一般読者も関心を寄せています。何がもとめられているのでしょうか。
『マネジメント(エッセンシャル版)』の「日本の読者へ」の一節が、その回答になるかもしれません。
一人の読者、経営者、社員として、あるいは一人の知識労働者、専門家、新入社員、学生として、自らの前にある機会と挑戦は何か、自らのより処、指針とすべき基本と原則は何かを考えていただきたい。
つまり、ドラッカーのマネジメントは、現代の組織社会の中で「機会と挑戦」をもとめる人すべてへ、「より処、指針とすべき基本と原則」を示す試みだというのです。
経営者だけでなく、一般読者が多い理由はここにあると思います。
そのマネジメントを理解するにはどうしたらよいでしょうか。
ドラッカーは、「本の中に知識はない。本の中にあるのは情報である。情報を成果に変える能力が知識である」と考えました。
では、本の中にあるドラッカーの考え方を、情報ではなく「知識」とするにはどうしたらよいのでしょうか。
ドラッカー関係の本をたくさん読んでみるのも一つの方法です。
ただし、相当な時間と根気が必要になるかもしれません。
もちろん、やさしく解説された本もあります。
それでも、「知識」とするには骨が折れたりします。
入門書がもとめられるゆえんです。本書も入門書に属します。
マネジメントのテーマは広範囲です。
本書は、そのうちの基本的なもの、企業(組織)、事業、顧客、起業家精神、マーケティング、イノベーション、マネジメントを中心テーマにしました。
本書はテーマごとにポイントを解説する形式ではありません。
起業物語の中にポイントを織り込みました。
ITベンチャーに就職した新卒女性社員の主人公が、ドラッカー理論を学び、ドラッカー理論に基づいて考えながら、マネジメントの一員となっていく成長物語です。
ドラッカーが示す基本と原則はあくまで指針です。
現実のビジネスシーンでは、主人公のようにドラッカー理論を「知識」として身につけ、臨機応変に当てはめて実践するしかありません。
本書が取り上げるITベンチャーは数ある事業の一つにすぎません。
しかし、ドラッカー理論を具体的にどのように適応するのかを知るには、変化が激しく起業家精神あふれるITベンチャーは好材料です。
また、いまや多くの企業にとって、ITはイノベーションに欠かせない重要な知識です。
本書のITに関する情報が、すこしでも参考になることを祈ります。
物語のほかにゲームも加えました。
ゲームは選択肢形式なのでテストのように見えますが、絶対的な正解はないので「ゲーム」としました。
ゲームを加えたのは、角度を変えてドラッカーの考え方をみられるようにしたかったからです。
物語とゲームを通じて、読者諸氏がドラッカーの基本と原則を「知識」とされる一助になれば幸いです。